歴史
平和台~福岡ドーム建設計画
平和台球場の外野スタンド改修工事中に大和朝廷の迎賓館であった鴻臚館遺跡が発掘。
数年後に同球場を取り壊
し、新しい球場を移転させなければならなくなる。
そこに、ダイエーのツインドーム構想が発表。
1989年に開かれるアジア太平洋博覧会(よかとピア)の跡地に3千億円
かけて、
多目的スポーツドームとレジャー施設ドームをならべ、高層ホテルとともに一大複合集客施設を作るという計画。
桑原敬一福岡市長(当時)は、「シーサイド・ももち」一画の16・9ヘクタールをダイエーの子会社(ダイエーリアル・エステート)に一平方メートルあたり
19万2千円で売却することを決定。
ただし、市民スポーツに開放することを考慮し、一平方メートル15万3600円と、2割減額。
<問題点>
・売却価格が周辺の公示価格に対して安すぎる?
・
ダイエーが商業施設を付設した場合、地元商店街の打撃は?
・もとは住宅・文教地区だった「シーサイド・ももち」をわざわざ商業地区に変更は?
⇒ダイエーは土地だけを持って、球団は身売りするのでは?と懸念。
1988年11月25日:
福岡市へ土地譲渡を申し入れ
住宅・病院などの予定地となっていたが、『シーサイド・ももち土地利用検討委員会』は申し入れからわずか11日後に承認。
1990年10月
ツインドームの建設計画をめぐり、
「福岡ダイエー・リアル・エステート」の専務が、業者選定の見返りとして、2億8000万円の
現金を受け取っていたことが発覚。
そ
の専務は翌91年2月、詐欺容疑で福岡地裁に逮捕される。(二審で無罪)
⇒告訴した建築業者「ダイエーに騙された」
⇒
集めた金は福岡市当局にも配ったと発言したがその後、現金は株式投資やローン返済などにあてた と訂正。
=『ドーム疑惑』
さ
らに不安は募り、ドーム内での物品販売権について
とあるビール会社は平和台球場時に約3000万円の販売権料を払っていたが、
ドー
ムになってから一気に30倍以上の値上げ。
=福岡ドームはダイエーの集金装置とまで言われた。
建築開始~開業
1991年4月 着工
1993年4月2日 グラウンドオープン
その他技術に関しては
以下の項目を参照。
ダイエー時代
初代所有企業はホークスの当時の親会社・ダイエー。建設も同社が行った
(厳密な施設の所有企業は現ホークスタウンの前身である株式会社福岡ダイエー・リアル・エステート)。建設当初の構想では当時のダイエー会長・中内功の発
案で、高層リゾートホテル(旧シーホークホテル&リゾート:後にJALリゾートシーホークホテル福岡を経て、現在はヒルトン福岡シーホー
ク)を間に挟み、当ドームと、同じスペック・形状のアミューズメントドーム(屋内型遊園地)を併設するツインドーム構想が計画されていた。しかしダイエー
の経営環境悪化から思うように進まず、結局アミューズメントドームの建設は見送りとなり、代わりに総合商業施設・ホークスタウンが完成。運営会社も社名を
「株式会社ツインドームシティ」から「株式会社ホークスタウン」(現在の同名企業とは別会社)に変更した。
海外企業時代
2003年オフ、ダイエーが企業本体の経営悪化によりドーム、ホテル、ホークスタウンを米国の投資会社コロニー・キャピタルに売却した(ホークスも2004年オフにソフトバン
クへ売却された)。2005年1月28日に行われた球団株式譲渡と同時に、ソフトバンクの子会社でありポータルサイトYahoo!
JAPANを運営するヤフーが命名権を取得、新名称が「福岡Yahoo!
JAPANドーム」となった。当時交わした契約期間は5年で契約金は25億円。契約金には球場の広告看板や冠協賛大会の開催なども含まれている。
2007年4月13日、コロニーキャピタルはホークスタウンをシンガ
ポール政府系の投資会社「シンガポール政府投資公社リアルエステート」(GIC)に売却したことを発表した。ただし運営会社がそのままGICの傘下に入っ
たので、実際の設備や運営に変化はなかった。
ソフトバンク時代
2012年3月24日、ソフトバンクはシンガポール政府投資公社より福岡ドームを約860億円で取得することで合意した。これにより、年間約50億円の賃借費用の負担がなくなり、球場の運営を迅速に行えるようになる。なおヤ
フードームが厳密な意味でソフトバンクの所有物になる日時は2015年7月1日の予定。
2013年1月25日、名称を「福岡 ヤフオク!ドーム」と変更を発表。(注:"福岡"と"ヤフオク"の間に半角スペース。"!"は半角)
命名権を持つヤフーの宮坂学代表取締役社長(45)は、記者会見で「もっとリユース(再利用)を広げたい」と説明。インターネットをあまり利用しない人にも「ヤフオク!」や再利用の意識を浸透させるのが目的という。
2013年2月1日、「福岡 ヤフオク!ドーム」として運営開始。
増築・改築
ホー
クスビジョン
オープン(1993年)~2005年ス
コア表示と映像装置は別で、スコア表示はオレンジ色の単色表示、映像装置はソニー製のジャンボトロンであった。
※
2006~ アビスパ福岡の本拠地である博多の森球技場に当時ビジョンがなかったため、同じ福岡が本拠地という縁もあってか売却されようとしたが、折り合
いがつかず破談になった。テレビサイズに直すと2123インチである。
2006~現在 2005
年オフにホークスビジョンとスコアボードを一体型とし、東京ドームと同等の1024階調(10億7000万色以上)かつ、国内球場設備唯一(当時)のハイ
ビジョン(720P)対応で高精密な表現が可能なものに取り替えられた。これにより、新しいホークスビジョンは縦9.984
m×横52.992
mの国内球場で最大、ハイビジョン対応スクリーンでは世界最大(当時)となるビジョンとなり、同時にスタメン発表時などのアニメーションも豪華なものに更
新された。(総工費10億円)
また、色はオレンジと変化はないが、チーム表示がアルファベット表記からロゴ画像(カラー)に変
更になった。
その他、当時のスコア表示の字体がゴシック気味であったのに対し、丸ゴシック気味に変化した。
2009~ 審判の
下のスペースに、投手の投球数が球速と交互に表示されるようになった。
2010~
ホークスビジョンとは別に、レフト及びライトスタンド後方に大型映像装置を設置。それぞれ「レフトウイングビジョン」「ライトウイングビジョン」と命名さ
れ、既存の「ホークスビジョン」と合わせて「新ホークスビジョン」と総称される。サイズは縦5.7m、横33m。3ビジョンの合計面積は905.2平方
メートルで、野球場としては合計が世界一表示面積となる。システムソリューションはソニーブロードバンドソリューションが担当している。(総工費6億円)
http://www.softbankhawks.co.jp/news/detail/5066.html2011~ NPB
の方針により、メイン・サブともにボールカウントがストライク(S) ボール(B) アウト(O)の『SBO』からボール(B) ストライク(S)
アウト(O)の『BSO』表示に変更された。
また、試合中、ビジョンの左側にホークス攻撃時は打席に入ってる選手の、守備時は
投げている投手 の画像と個人成績が表示されている。
2013~
メインスコアボードとレフト・ライト両ウイングビジョンの中間にある大型広告スペースもフリーボード化されることになり、同年年初からオープン戦開催まで
改修工事が行われる。今回は右中間、左中間にある看板スペースを縦10メートル、横32メートルの巨大ビジョン2面で埋めるもの。これによって福岡ヤフードームの左翼から右翼まで幅183メートルにわたる外野壁面に、5面のビジョンが連結されることになる。
総面積は現在の905平方メートルから、5面構成で1549平方メートルに拡大。形状こそ異なるが、世界最大・最長とされるドバイのメイダン競馬場にある世界最大ビジョンを上回るサイズとなる。
改修は1月にも始まり、3月のWBC第1ラウンドまでに運用を開始したい考えだ。演出は06年からホークスビジョンを手がける映像制作会社「KOO-KI」(福岡市)が担当し、新たな展開を見せそうだ。
(現在工事中)
追加設置ビジョン(2面)サイドビジョン・ライト/サイドビジョン・レフト スペック
スクリーンサイズ |
9.6 m× 32.64m ×2基(メインビジョンの左右に1基ずつ) |
表示部仕様 |
高輝度R・G・B フルカラーLED |
表示性能 |
281兆色、65,536階調、上下合計80度、左右合計140度の視認角度 |
設計・施工 |
ソニービジネスソリューション株式会社 |
---|
【ご注意】世界最大の合計表示面積 について
1面での表示面積が野球場で世界最大 ヤンキースタジアム(アメリカ) 17.92m×30.72m=550.5㎡
1面での表示面積世界最大 メイダン競馬場(ドバイ) 107.52m×10.88m=1,169.8㎡
ひとつなぎの合計表示面積が世界最大 ヤフードーム 合計1542.83㎡(※今回設置予定・世界最大)
http://www.softbankhawks.co.jp/news/detail/9422.html延長戦について スコア表示は基本的に9回までだが、延長戦が行われた場合は他の球場ではよくあるよう
に全部を消去するのではなく、延長戦が開かれたイニング分だけ左にスライドしていく形になる(例えば延長10回の場合、1回のスコアだけ消去され、2-
10回のスコアが表示される)
特別仕様 全面フ
リーボードのためレイアウトの変更は容易であり、国際試合などでは、東京ドームで行われる日米野球のように、全て英語表記・横書きのデザインで表示され
た。鷹の祭典では文字の色が特別ユニフォームの色に変更されている。
人工芝
外野フェンス
内野下段にある可動席
が外野席の前にスライドしてくるシステムのため、外野フェンスが非常に高い。(5.84m)
2008年には、ラバーをMLBの
各球場などで採用されている、衝撃吸収性に優れた柔らかいソフトラバーフェンスに張り替えている(本塁後方のフェンスも含む)。
更にオフシーズンに、2009年からホークス監督となった秋山幸二の「球場内のイメージを明るくしたい」という要望により、外野フェンス上半分がバックスクリーン直下を除いて明るい緑色に塗り直された(一塁側ダッグアウトの天井も空色に塗り替えられている)。しかし、オープン戦でその色合いが不評であったため、公式戦開幕直前に下から上に明るくなっていくグラデーションに塗り替えられた。また最上部に関しては、審判団より「明るい色では本塁打の判定に支障が出る」と指摘されたため、元のダークグリーンに塗り直している。
フェンスの実物大がコンコース
に設置された(8ゲート横)
フィー
ルドシート
2005年オフに増設。
2
月24日の2006 ワールド・ベースボール・クラシック日本代表壮行試合で初お目見え
2006年オフには3人掛けソファシート
「コカ・コーラソファシート」が設置された。
ホークス主催試合では価格が他球場の2倍近い料金に設定されており、最安値の席で
もそれまで最高値のバックネット裏下段と同料金という高額なチケット料金が設定されている
フィールドシート・エリアへの入り口
はネットで仕切られており、チケットを持っていない人は入れないようになっている。打球が飛んでくると非常に危険であるために売り子は立ち入らず、観客に
はヘルメットとグラブが無料で貸し出され、試合開始前のスコアボードなどにヘルメットの着用を促す表示がされるなど着用が注意喚起されている。
☆スポンサー お買い得!
【設置工事】
マルベリーハウス(桑野組)
増席
スタンドの収容人員(野球開催時)は当初の公称値で48,000人とさ
れたが、実際のところはそれよりも約13,000人分少ない35,157人(当時)しか収容できなかった。これに対し、ソフトバンクはホークスを買収した
直後から増席を度々計画している。
- 2005年オフ 532席のフィールドシート
(コカ・コーラシート)を設置。
- 2006
年オフ バックネット裏のSS指定席全席にテンピュールクッションを設置、バックネット裏上段の記者席の一部を観客席に改造し
たカウンターシートの設置、三塁側内野席上段の一部を定員5人のボックスタイプの席(ボックスファイブ)に改造、フィールドシートエリアに3人掛けソファ
シート(コカ・コーラソファシート)を増設 収容人数は
35,773人
- 2008年オフ スーパーボックスの一部をビ
クトリーウイングに改装 収容人数36,253人
- 2010年シーズン途中 「王貞治ベースボー
ルミュージアム」内ミュージアムシートの設置および全域の販売可能席数の見直し 収容人数36,723人になった。
- 2011年度 バックスクリーンの一部を観客
席にするなどの見直し 収容人数37,025人
- 2012年シーズン スーパーボックスの4階
部分の一部を改修して内野席へ変更 収容人員は
38,561人
王貞治ベースボー
ルミュージアム
2009年まで王
貞治ベースボールミュージアムの場所には「ビッグライフ」というスポーツバーが設けられていた。グラウンド側はガラス張りで、ガラスに沿って世界最長のカ
ウンター席が設置してあった。チケットにはカウンター指定席と自由(立見)があり、カウンター指定席以外の客はカウンターに近寄れず、バー内に約70台あ
るモニターで観戦することになっていた。
2010年7月3日に福岡ソフトバンクホークス元監督で現球団会長の王貞治の偉業を称
えて開館。右中間から左中間までの外野席後方にあったビッグライフが改装された。入退場ゲートは7番ゲートの隣。一部エリアは客席となっている。詳細は
王貞治ベースボールミュージアムを参照。
開閉式屋根
日本の野球場唯一の屋根開閉機構を備える。屋根は厚さ4メートルの3枚のパネルからなり、このうち2枚が左右に120度旋回移動することにより、約20分
で全開閉する(全開時の開口率は60%)。屋根部分の総重量は約12,000t。一度の開閉にかかる費用は約100万円。その内、屋根を開閉する電気代が
20万円で、人件費など諸費用が80万円になる。
開閉は通常試合前の練習(現在はなし)やホークスがホームゲームで勝利した後
の「ルーフオープンショー」時などに限られている。
元々は天候に合わせて晴れの時は開いた状態で試合をすることを想定してお
り、当初は屋根が開いた状態での試合も行われたが、光の傾斜などが10月の日本シリーズ開催時期にベストの条件になるように設計されたため「(全ての屋根
が開くわけではないため)構造上反射角の違いが選手のプレーに支障をきたす」と選手会からクレームが付いたことや、近くに病院(独立行政法人国立病院機構
九州医療センターと福岡市立こども病院・感染症センター)が存在すること、シーサイドももち周辺は高級住宅地となっていることなどから騒音問題があり、
1999年6月19日(西武戦)を最後に開いた状態での試合はしばらく行われなかった。
その後、2008年9月10日の楽天戦
で9年ぶりに屋根を開けて行なわれた。9月としては11年ぶりの5位転落や、連敗という悪い流れを断ち切ろうとしたもので、楽天球団や選手会、隣接する病
院にも了解を得た上で行われた。この際は天候不良のため4回終了時で閉じた。
KinKi
Kidsがコンサートを行なう際、「自分達でお金を払うから、演出の一環として公演中に屋根を開けて欲しい」と要望したが、騒音問題を理由に実現しなかっ
た。
ホークス主催の少年野球トーナメントなどでは、屋根が開いた状態での試合が行われている。
2011
年6月21日には、迷い込んだカラスを追い払うためだけに開閉が行われた。
2012年4月26日の対西武戦では「ルーフオープ
ンデー」として屋根を全開して試合が開催された。この時は、球場内の気温が下がったため20時で閉じられた。
⇒屋根の構造や理由についてはページ内「建設」を参照。
ヤフオクドーム概要
ヤフオクドーム概要(公式サイトより) 2013年現在
■名称 |
福岡Yahoo! JAPAN ドーム / ヤフードーム 福岡 ヤフオク!ドーム / ヤフオクドーム |
■所在地 |
|
■建築主 |
株式会社福岡ダイエーリアルエステート |
■運営会社 |
福岡ソフトバンクホークスマーケティング |
■工期 |
24ヶ
月 |
■総事業費 |
760
億円 |
■規模 |
階層 |
地上7階 |
敷地面積 |
170,000平方メートル |
建築面積 |
70,000平方メートル |
延床面積 |
176,000平方メートル |
高さ |
軒高 |
地上43m |
最高部高さ |
地上84m |
アリーナ |
アリーナ気積 |
約1,760,000立方メートル |
フィールド面積 |
約13,500平方メートル (コ
カ・コーラシート部分を含む) |
両翼 |
約100m |
中堅 |
約122m |
フィー
ルド面からの高さ |
68m |
屋根 |
開閉方式 |
3枚屋根による旋回移動 |
直径 |
約212m |
開閉面積及び開口率 |
約5,800坪(約60%) |
開閉時間 |
約20分 |
駆動装置の機能 |
円周移動 |
収容人員 |
38,561人 |
駐車台数 |
約2,000台 | |
■経緯 |
1991
年 4月1日 着工 1993
年 竣工 1993
年 4月2日 グランドオープン |
水増し疑惑
福岡ドーム開業当時から実数発表となる2004年まで、観客数を48000人と発表。
実
際は35575人(2005年)でかなりの水増しをしていた。
2005年の実数発表から1人単位で発表され、それ以降では
2012
年がもっとも多く、
年間 2,447,501 人(72試合) 1試合平均
33,993となった。(2005~パ・リーグ観客動員数1位)
建設
建設動画
開閉式屋根-構造計画
あの形状になった経緯⇒
http://ci.nii.ac.jp/els/110003800279.pdf
最新技術を駆使した設備
ここから先の引用源
概要
アリーナ環境
光環境
アリーナの照明は、各種イベントや屋根開閉に対応できるよう、照明パターンの設定及びプロック別の制御を行っている。より効果的な光のコントロールを行う
ために、1/50縮小模型による実験を行い屋根の開閉に伴う光環境の変化を確認した。使用するランプも自然光に近いものを採用している。
(1)照明器具の配置
固定屋根は屋根キャット
ウォーク部、可動屋根側は走行路下の内壁部に、以下の通り器具を配置している。
投光器
A フィールド照明
2kW(HQI-2,000) 588台
B 看板照明 2kW(HQI-2,000) 8台
C
空間照明 1kW(M-1,000) 90台
D 客席照明 1kW(M-1,000) 24台
E
即時点灯照明 1kW(]-1,000) 48台
計
758台
(2)イベントの設定照度と照明パターン
1
階AVコントロール室内の照明制御盤のボタン選択により、イベントごとの照明点灯パターンが自動的に設定され適切な照度が確保される。照度は、プロ野球試
合時に:バッテリー間
2,0001x以上,外野:1,6501x以上である。その他の照明パターンとして、アメリカンフットポール,展示会,コンサートなどの10のパターンを
あらかじめ設定している。設定される項目は、パターンによる灯光器の種類,場所別の灯光器台数である。
(3)屋根開放時の点消灯
屋根開放時の自然光を考慮して、大きく 6つのブロックごとに点消灯を可能としている。
(4)高演色性ランプ
主照明は自然光による色の見え方に極めて近い高演色性メタルハライドランプを採用している。
(5)縮小模型による実験確認
背景(屋根,壁,空)が変わっていくときのボールの見え方や内部の視覚環境等を1/50スケールの縮小模型による官能評価実験を行って確認し、屋根等の背景
色や照明装置の妥当性を検証した。
音環境
気積に比例して大きくなる残響時間や有害反射音に対処するため、屋根や
壁に吸音材を貼ったり、バルコニーの壁に傾斜をつけるなどの工夫を重ね、その効果をさまざまなシミュレーションで検証しながら、残響時間の低減と明瞭度の
確保を図った。
電気音響は、各種イベントに対応できるようにメインスピーカー,サテライトスビーカーをコントロールし、適切な音
圧を擁保している。
(1)スピーカー
の配置
客席用に24カ所のサテライトスピーカーを設置し、フィールド用には昇降式のメインスビーカーを固定屋根の頂部に設置してい
る。
スピーカー
A メインスビーカー 1カ所
B
固定屋根側サテライトスビーカー 10カ所
C 可動屋根側サテライトスピーカー 14カ所
計 25カ所
(2)残響時間の低減
福岡ドームは、東京ドームの
約1.4倍の気積を有するが、屋根面および壁面の吸者を行い、残響時間の低減を図って明瞭度を確保している。
(3)イベントごとの設定パターン
1階A
Vコントロール室内のパターン制御盤のボタン選択によりイベントごとの音響パターンがコンピュータコントロールシステムにより自動的に設定される(パター
ンブリセット方式)。
パターンは野球サッカペアメリカンフットボール,展示会,集会等に対して8のパターンをあらかじめ設定して
いる。
設定される項目は、パターンによるスビーカーの選択,音量設定,延滞時間(スピーカーを鳴らすタイミングを自動的にずらす
ことにより、音のずれを防ぐ),音質補正として、違和感のない拡声音が観客に来るようにコントロールしている。
メインスビーカー
は電動昇降式とし、フィールド内で展示会を行う場合はスビーカーを降下させ、より明瞭性のある拡声が行えるようにしている。
(4)詳細シミュレーション
スビーカーより出され
る音がドーム内で反射していく状態をコンピューターでシミュレーションし、その結果を基に音場シミュレータで実音による聴感試験を行って、拡声昔の明瞭度
を確認しながら最適なシステムを設計した。
アリーナ空調設備
(1)
熱源配管設備
本建物では地域冷暖房より冷水・温水を受給しており、熱交換器を介して熱交換を行っている。熱交換器およびその
2次側の配管は、アリーナ系統と一般諸室系統に大きく分けている。 2次側配管は地下ピット利用の周回トレンチ内をループ状に回り、分散された
8カ所のシャフトより分岐して立上がり、各階の空調機やファンコイルに至る。
熱交換器:アリーナ系統1.200USRT X3台
一
般諸室系統 750USRT X2台
(2)アリーナ空調設備
アリーナ空調は居住域を主体とした空気方式を採用している。
すなわち 8プロックに分けられた空調機より冷温風を供給し、
客席後方上部に設けられた吹出口より送風する。客席を層流状に流れ
た供給空気は、客席最前部のスリットやコンコースへの出
入
口部分よりレタンされる。冷暖房時はこれに加えて、内壁倒に吊られた8カ所の軸流ファンを円周方向に向けて運転し、旋回する空気の流れを作ってやる。そし
て、気流を含めた快適指数
(SET)による空調の制御を行い、気流によって体感を向上させ、熱的には省エネを図ることをねらっている。また、外気冷房や滞留者人数による外気量制御
なども行っている。
空調機
62,500CMH x30台
給気ファン:125,000CMH x12合. 94.00OCMH x4台
排
気ファン:100,000CMH x12台. 84. 400CMH x 4台
屋根解放による自然利用
本建物の最
大の特徴である屋根開閉に対して、空調運転の考え方を次のように設定した。すなわち、降雨がなく風速や温湿度の状態が良好な状態では、開催中屋根を開けて
自然環境を享受する。
一方、良好でない状態のときは屋根を閉めて空調設備による環境制御を行う。このような屋根開放が可能な頻度
の検討を行い、かなりの頻度で自然利用ができるのではないかと推定している。
また、屋根を開閉するための判断材料として、外部
環境を把握するためのセンサーを設置し、降雨,温湿度,風速,日射さらに不快指数や風冷指数といった状態を監視できるようにし、また気象予報会社から、
ドーム周辺の気象情報を受けられるようにしている。
大型映像・イベント対応設備
大型映像設備
このドームの大きな特
徴の 1っとして世界最大の大型映像があげられる。カ
ラーボード部分で高さ10m,
幅35.2m、メインスコアボード部分か高さ10m,幅17.6mでカラーボードとメインスコアボードを合わせると幅52.3mの巨大な映像設備で
ある。
※多彩なシーンをリアルタイムで臨場感たっぷりに演出する迫力ある世界最大の屋内大型映像システム「ホークスビジョン」が観戦ムードを最大限に盛り上げます。
表示部分のサイズは縦9.9840m、横52.992mと何しろ屋内施設で世界最大。2,123インチ、ハイビジョン対応の高精密大画面を駆使した臨場感
溢れる演出で、感動のエンターテイメントを提供します。
そのため、送出側のAVコントロール室では特
殊効果装置等を駆使し大画面で2分割. 3分割といった映像合成を行うことができ、見る者を圧倒する。
また、局仕様のアリーナ
カメラは客席内に 3台と天井部に
1台の計4合設置される。天井部に取り付けたカメラは水平360度,垂直120度可動できAVコントロール室から遠隔制御される。
イベント対応設備
イベント電源設備は、照明,音響,動力用に計1.570kVA用意している。電話端子盤は計
600回線まで対応でき、アメフト用インカム回線,マイク回線,スピーカー回線などをイベント盤室内に各々設置している。イベント盤室はフィールドレベル
に4カ所設け、客席レベルやピッチャマウンド内にも盤を7カ所設けているため、各種イベントに対応できるようになっている。
ま
た、主催者側が電源車を持ち込んだ場合でも内野側,外野側に計600kVAのケーブル対応を行っている。
イベント対応の給排水
設備としては、フィールドレベルに 9カ所,客席レベルに4カ所設置されている。
テレビ・ラジオ中継対応設
備
この球場は福岡ダイエーホークス福岡ソフトバンクホークスのフランチャイズ球場ということもあり、計画時より福岡テレビ
・ラジオ中継技術協会から建築主へ中継するための設備的要望があった。それ
を受けて局が持ち込む設備と球場内へ常設する設備と幾つかの区分を行った。
常設する設備としては、中継車から放送席,機材室,各カメラ席へのカメラケーブル,音声ケーブルおよびコネクター盤の設置を行った。また、バックネット側
のガンマイク,収音マイク,ヘッドアンプ等を一部常設した。それ以外に中継用電源として 50kVAを2系統用意した。
また、
大型映像用の天井カメラの映像も入力でき、中継車側でもリモート可能となっている。
衛
星・防災設備
給排水衛生設備
給排水設備の項目の中で、給水.排水および雨水利用の概要について以下
に認す。
給水は、上水系統と中水系統に
2分し、中水系統は便所洗浄水,植栽散水に使用している。中水は広域中水と屋根から主雨水した雨水を併用している。上水:中水とも加圧給水方式としてい
る。
排水は、汚水系統と厨房排水系統に 2分し、汚水は放流量を低減するため分散貯留を行い、厨房排
水は除害処理を行って放流している。
雨水については、広大なドーム屋根面に降る雨水をいったん地下の水槽に落として貯留し、これ
をろ過して中水として再利用している。この雨水貯留は、大雨時に敷地内からの放流雨水を低減し、都市整備を保護する目的もあわせ持っている。
雨水集水面積:約32,000m2
雨水貯留槽:有効約 2,900m
3
防災設備
アリーナ関連の防災設備について以下に記す。
ア
リーナの排煙については、屋根下部の気積を利用し蓄煙を行って、煙降下前に安全に避難が完了することを検証して建設大臣特認を得ている。
火災覚知・消火については、コンサートや展示会の火災にも対応可能な防災設備として計画し、消防訪災システム評価を取得して設置している。これは赤外線カ
メラによって放射熱を検知するセンサー2基とこれによって特定された火源に自動
方向設定を行う放水砲3基から構成されている。
~論文 引用 ここまで~
建設秘話
転載源:
http://ameblo.jp/best-ito/entry-10566689439.html
1993年、東京ドームに次いで国内2番目のドーム球場「福岡ドーム」が
オープンしました。
ドーム建設には毎日1400名もの職人が携わり、チタン屋根の担当者などは100m近い高さの屋根に登るな
ど、それは危険を伴う大仕事でした。
そのため、現場監督は毎日「誰かが落ちて怪我をしてしまう夢」を見
始め、ノイローゼ寸前になるほどでした。
しかし、毎朝一所懸命「安全ベルトの点検」や「ヘルメットの着用」を訴えても、誰もまと
もに聞いている気がしない。
「このままではいつか大きな事故が起きてしまう」そう考えた監督が過去の
データを調べてみると、なんと事故を起こした人の90%が、朝家を出るときに、妻や家族と揉めごとを起こしていたということがわかったのです。
そこで監督は、本人に直接安全性を訴えるのではなく、その「家族」を喜ばせてあげたいと考えました。
思いついたのは、職人たちの家
族全員を招待しての大イベント。
まだ土を掘り返したままのドームに、数千人にもなる家族を招き、巨大なバーベキューパーティーを
開いたのです。
「ご主人はあんなに高いところで作業しているんですよ」「きみのお父さんはこんな立派なドームを造っているんだ
よ」
監督は、家族一人一人に声をかけてまわりました。
な
ぜなら、厳しい現場や頑張っている姿を知ってもらうことで、きっと奥さんは「あなた気をつけてね」、子供は「お父さん、早く球場を造って野球見に連れて
行ってね」と声をかけて朝送り出してくれるようになる。そうすれば「この家族のために安全に注意しよう」と本人が自覚してくれる。
そ
のほうが、自分が「安全確認」「ヘルメット着用」などと注意するよりよほど効果的だと考えたからです。
バーベキューは、その後も幾度か開催されました。監督の思いは的中。ドーム完成までに大きな事故は一切起こらなかったそうです。
誰のために、何のために仕事をするのか。それを自覚することが、行動を明確にするのかもしれません。
舞台
ガメラ大怪獣空中決戦